『怯えないで、大丈夫
私のかけがえのないご主人様
なにがあってもお側にいますよ』
耳もとでふわりと囁かれた。
身におぼえのない愛おしげな声音。
甘くて、けっして初対面の人間に向けるものではない。
それに…ご主人様?
なにを言っているの、このひと…
まとわりつくような寒気に、たまらずうしろを向いた。
一歩離れたところを気怠そうに歩いている成生くんと視線が交わる。
なるせくん
せめて手を繋いで存在を感じていたい。
こわい、離れないでほしい。
縋るように指先を伸ばせば
成生くんが一瞬だけ目を伏せて、それから、応えるように手を差しのべてくれる。



