「ねぇ……なんでそんなに、わたしのこと」
『じゃあもうオレたちが新しい世界に移るしかねェな。このリストバンドつけて、次はもっと高い場所へいこう。ダリに造らせる。どこまでも、天にすら届くくらいの塔を、一緒に登るんだ』
「意味がわからないよ、いかない……」
『高いところが怖えのか?ジェットコースターでもビビってたもんな。オレが隣にいる。手だって握ってやる。だから、またデート行こうな』
「やだ、ポピィとデートなんて、しないよ」
『頂上まではどのくらいかな。雲の中で、ジョンに作らせたサンドイッチを食って、また階段を登って、歩き続けるんだ。果てまでいけばもう誰もオレたちがいる場所まで手を伸ばすことはできない。おまえにはオレだけしかいなくなる。オレ以外忘れて、ふたりきりの世界で愛し合う。最後はオレの腕の中でおまえは朽ちていくんだ。それしか、許さねェ。おまえは、オレだけのモノで、オレだけのお姫様だから』
もはや妄言も同然だった。
口だけが動くカラクリ人形のように、ポピィはただ言葉を連ねる。
わたしをお姫様だと、そして自分が王子様だと。
あるはずのないおとぎ話を信じて疑わず、まるでその基盤の上で生きているようなただならぬ固執に全身が粟立つのがわかった。



