『なァ、ベンタ、具合はどうだ?昨日は手酷くしちまったからな』
どうして、そんなやさしい声が出せるの。
目の前のわたしはこんなに苦しいのに。
『オレはさ、このリストバンドがあれば、おまえを信じられるんだ』
「なに、いって」
『ありがとな、ベンタ。一生大事にする。終わりのない一生で、このリストバンドはおまえの命の次に大切なモンになった』
「おおげさ、だよ……」
『おおげさ?ハハッ、そーかもな。でもオレ、次このリストバンドを壊したやつは、殺すよ』
ポピィの目の奥で仄暗いものが揺らめいた。
殺す……だなんて。
冗談だと思いたいけど、こんなおかしな世界に住んでいる道化師に常識など通用するはずがない。
ただよう空気が重たく沈む。
どうにか浄化したくて、わたしは渦巻く不安を飲み込み、声をあげた。
「……て、ていうかポピィ!わたし怒ってるんだからね!昨日いっぱいキスしてきてさ!ふぁ、ファーストキスだったのに!乙女心をなんだとおもってるの?」
頬を膨らませる。
しかし訴えられた側のポピィはキョトンとまばたきを数回。
そして無造作にくちびるをくっつけてくる。
「んぬっ、やめ、て、しないで、んっ」
何回も何回も、たくさん重ねられた。
いじめるみたいに、かわいがるみたいに、腕の中にわたしを閉じ込めてキスまみれにしてくる。



