昨晩、わたしを傷つけた非情な道化師。
死ねと言いながら何度もくちづけて、歪んだ感情をぶつけてきた不安定な男。
どうしても頭から離れてくれないあの時間は、わたしの胸を理由も告げずに締めつけてくる。
「……ポピィ、傷は大丈夫?」
ポピィの足に触れた。
それから、撃ち落とされていた手首。
いまはくっついてるけど、自分でくっつけたのだろうか?
手袋の下からは縫い目のようなものが見えた。
「ごめんね……痛かったよね」
泣きそうになってしまう。
ポピィのことは嫌いだけど、痛いおもいをしてほしいわけじゃないから。
『そんな顔すんな。オレたちキャストはおまえと同じで、死なねぇんだよ。傷も欠損もきちんと治る。おまえが泣くことはねェから』
淡々と、あたりまえのように言うポピィがなんだか悲しくて、その体をぎゅっと抱きしめた。
『なんだよ。泣くなって』
「うん……ごめんね」
『ゴメンばっかりだな』
ポピィがわたしをそっと剥がす。
そして自身の赤い衣装に滲む涙の跡を見つめると、どこか愛おしげになぞった。



