『オレはおまえのことを憎んでいる。大嫌いだ。この世でいちばん、大嫌い』
大嫌いと言う口でキスをやめようとしない。
その甘い矛盾に……道化師はきっと気づいていない。
『おまえなんか死ね。死んじまえ』
「……」
『あいつのモンになるのなら、オレから離れていくのなら、おまえなんていらない』
「……」
『くそ……死ね、死ね、死んでくれよ』
潰れるほど抱きこまれ
背中からベッドになだれ落ちた。
親にすがる子どものような道化師の姿に、感じていた痛みが遠くなっていく。
『ベンタ、ベンタ……ベンタ』
わたしの名を虚ろにつぶやき続ける声音があまりにも悲痛で、拒絶する手を動かすことができなかった。
こんなに死を望まれているのに、こみあがるのは切なさに似た感情だなんて。
もう自分がわからない。
けど、それ以上にポピィという存在が分からなかった。
そっと、彼の背中に手を添えようとした時だった
「ベンタから離れろ」
空気を凍らせるような声が響いた。



