しばらくすると、執拗な唇がようやく離れてくれた。
酸素不足でくったりと脱力した体は、ポピィの胸壁に倒れていく。
『ベンタは……死なねぇんだな』
強く抱きしめられる。
人の死をなんとも思わないような男が、まるで別人のような声音だった。
『そうか、おまえか……。おまえがベンタだったのか。ただのイカレ女じゃない、本物……』
どういう、ことなの
目線を上げれば、溶けるほどの熱をまとわせた瞳が2つ。
『ベンタは生きてる。死なないんだ、絶対に』
「……」
『もうここから出してやらねぇ。永遠にオレと生きるんだ』
「……」
『だっておまえはオレのことを愛してるから。愛してるに決まってる』
「……」
『オレのことを王子様だと言っただろ』
「……」
『だからおまえがオレのお姫様なのは当然のことなんだ』
うわごとのように言葉を連ねるポピィに恐怖をおぼえた。



