死の恐怖より、生きたいという願望が強かった。
奇跡でもなんでもいい。
やらなきゃ終わる。
せめて考え抜いてから最後のゲームに挑みたい。
すると、成生くんが近づいてきて
わたしのことを正面から抱きしめた。
「わっ、なるせ…くん」
「……ベンタ…」
掠れた声がつぶやく。
後頭部に添えられた手に抱きこまれ
耳がピタリと成生くんの胸板にくっつくと
鼓動が聞こえた。
トクン、トクンと穏やかな拍動。
ああ…安心する。
何度も何度も呼んでくれたわたしの名前。
忘れかけていたぬくもり。
「この世界に永遠に閉じ込められても、おれは不幸になんてならない。ずっと一緒だよ。」
「……」
「おまえがいれば、幸福なんだ」
「成生くん…」
「これ以上痛い思いするな。
頼む、お願いだから、ベンタ」
成生くんらしくない甘くて弱々しい懇願。
不思議だ、ずっとツンツンしてたのに。
厳しかったり、優しかったり
わたしのためにいろんな一面を見せてくれる。
今だってそう。
わたしを思って苦しんでいるんだ。



