コースターは角度をつけて旋回した。
重力まかせに視界が揺れて苦手なゾーン。
だったはずなのに
「あれ…?」
待ち構えていた風圧がこない。
むしろ、とても穏やかで
「……?」
明確な変化だった。
速度が落ちている。
言い方を変えるなら
全体的にゆっくり進んでいる。
普通ならあっというまに通り過ぎるエリアも、よく見渡せてしまえた。
まるで幼児用の遊具に乗っているみたい。
一番はじめの山がはじまった。
コースターが頂点までのぼっていく。
「た、高…」
『いまさらかよ』
「いや、だって」
こんなにスローで、こんなに景色を眺めていられる滞在時間が長いなんてはじめてのことだったから。
頂点で一時停止、そして
「遅…くない?」
まったくスピードが変わらないまま、下へ落ちていく。
逆に怖い。
ものすごい角度を、焦らすようにのんびり降下していく謎の時間。
シュールすぎる。
でも、この変化が正しいものならば
これが──コースターを止めるということ?



