「あははっ。もうねーやめてよーーっ!!!」
「なんでよ。別にいいじゃんほら! ういうい」
「もーっっ」
目の前には仲良さげにわいきゃいと身体を押し合う女子生徒。
その様子を微笑ましく思いながら,私は2人に合わせてゆっくりと後ろを進む。
次の授業まで時間あるし,2人も楽しそうだもんね。
正直,そうでもなきゃ退いてほしいくらいではあったけど。
余裕を持って移動していた私は,ひたすら空気のように後ろを歩いていた。
「いたっ。ちょっとぉーー」
「もうっ。だからそっちが先にやって来たんでしょー?? あははっ」
ようやく階段を上りきる。
そんな時になって,ドンとした強烈なアタックを1人が仕掛けた。
「……え」
嘘でしょ。
押された女子の肩が,勢いよく私の肩を突き飛ばす。
幸い2人はバランスを持ち直し,無事だったけれど。
グラリと傾いた私の身体は……
これ,落ちてない??
だってほら,無事だった2人の驚く顔がこんなにもスローモーションに見えるなんておかしいよ絶対。



