「あっえっ。名前ってもしかして,浬くんとかそういう? そっち?!? ごめんね私そういうの疎くて,直ぐ呼び捨てしちゃ」
「ううん,いや。いい。浬がいい。そのままでいいよ」
「え,そう? じゃあえっと,そろそろ」
「うん。またね」
ひらひらとお互いに手を振った。
突然浬が踵を返す。
どこに行くのかと思えば,そのままどこかへ歩いていった。
あれ? え?
こっち……じゃないの?
てっきり,私と同じ方向だと思った。
のに。
じゃあいったい,浬はなんでここにいたんだろう。
……ううん,やっぱり謎。
っ!! 私も急がなきゃっっ。
次の授業には何とか間に合って,事なきを得た。



