「いらっしゃいませ! ……5名様ですか?」
「はい」
あ……見とれてる。
周りを見渡せば女の店員さんだけじゃなく、女性客も昴先輩を見て頬を染めていた。
「ごっ、ご案内します……っ!」
「透みたいね」
くすっと笑う奈々に、ちょっとショックを受ける。
……あたし、いつもあんなにモジモジしてんの?
「何食おーっ」
席に着くと、すぐメニューを開く翔太。あたしは、苺が乗ったケーキと決めていた。
「はい、トール」
「えっ。先に決めていいですよっ」
目の前に座ってる昴先輩が、もうひとつあるメニューをあたしに渡そうとしてる。
「lady first」
レディーファースト!?
何て紳士なの昴先輩! むしろあたしがエスコートしたいくらいですけどね!
あたしは胸きゅんしながら、お礼を言って受け取る。
卒業証書を受け取るみたいになってるし……。
笑顔が眩しいです、昴先輩。



