「先生、今日はほんとにダメなんです」
「なんだ三神か。ダメって何でだ」
「透は今日、弟を迎えに行かなくちゃいけないんです」
……奈々様!
思わず拝みそうになると、怪しむようにつんちゃんがあたしに視線をよこした。
「……お前、弟なんかいたか?」
「いるよ、超可愛いのが!」
ほんとにいるの! もう中3だけどっ!
「しょうがねーなー」
溜め息を付いて、騙されたつんちゃんはあたしを睨む。
「次は出ろよこのバカッ!」
「バカッて言うな!」
「お前のせいで平均点が下がるんだよ! ガクッとな!」
ガクッと膝を折るつんちゃん、気持ち悪っ!
「ふんっ」
「補習で覚えてろよ……」
くっくっ……と嫌な笑いをしながら、つんちゃんは立ち去っていった。
「奈々~! ありがとぉぉお」
「いいのよ」
天使っ、奈々は天使っ!



