「Repeat after me. ス」
「す?」
「バ」
「……ば」
「ル」
「る」
「スバルッ」
「すばるっ!」
「できたネー」
ニコニコの昴……先輩。
「ははは……」
今のは繰り返しただけなんだけどね……。
慣れないとなぁ……。
すばる、スバル、昴……昴……。
頭の中で呼んでいると、耳障りな声が遠くから聞こえてきた。
「カフェってどこにあんの?」
「駅の隣っ! だよね奈々?」
「……ええ。そうよ」
「苺のケーキ食べたいなーっ」
「……! ……い! ~~る!」
どんどん近づく声。どんどん早足になるあたし。
「トール、あるくのはやいよ~?」
「カフェに早く行きたくてっ」
「ちょっとねぇ、透……」
「えっ何!? さぁ早く上靴からローファーに履き替えましょーかっ!」



