「キョウ先輩はキョンキョンでー。翔太先輩はー……ん~……しょーやん!」


下駄箱に向かう途中、あたしは先輩方の呼び名を決めていた。


仲良くなって、“先輩”を付けなくていいと翔太先輩が言ったのが始まり。



「透ぅ~、もっと他にあるやろ!?」

「えぇー……」


だって、やっぱ呼び捨てだと変な感じするしなぁ……。


「昴はどうすんの?」

「すーちゃんとかええんちゃう!?」


ぎゃっはは!と笑う、キョンキョンとしょーやん。


あ、やっぱ変だ。


「もう呼び捨てでいいじゃないの」

「せやなぁ。呼び捨てでええやん」


奈々としょーやん。うん、やっぱ変だな。


「そうしよう」


うんうん、それが一番。


「慣れなあかんで! はい透、練習っ」

「えっ! しょ、翔太翔太……キョウキョウ……すば、昴…先輩」

「何で昴は先輩ついたままやねん!」

「い、いやだって……」


昴先輩は、昴先輩なんだもん!


「トール」

「はいっ」


昴先輩に呼ばれれば、あたしは大きく返事をする。