「ハイッ」
はひー!! スッ、スプーン! そして黄金に輝くチャーハン!
「良かったわね、透。うふふ」
うふふじゃないんですけどぉぉぉお!?
たしかに食べさせてほしいと思ってたけどもっ! いざその状況に置かれると、恥ずかしくて無理!!
「だ、大丈夫です!」
「……そんなにたべたくないの? ダメだよトール!」
昴先輩の目はまるで、駄々をこねる子供を見てるようだった。
奈々の陰謀、すごすぎる……。
「ハイ、アーン」
ぎゃぴー!!
むっ、無理にもほどがある!
「透。あーん、は?」
奈々は面白がってるし!
だけどその目は、早く食えこのバカ、私の苦労を無駄にすんじゃねぇ!と言っていた。
「トール……。おねがい」
昴先輩は悲しそうにあたしを見て、チャーハンがのったスプーンを差し出してる。
「~~っ」
恥ずかしさを我慢してパクりと食べると、ゆっくり、口からスプーンが引き抜かれた。
それは、昴先輩に食べさせられたっていう明確な事実を示してるようで。
真っ赤になった顔を隠すように、下を向いて食べる。
飲み込んでから恐る恐る顔を上げると、昴先輩は微笑んだ。



