「ほら、透。だだこねないで」
怒る隼人の手から奈々の手に移ったスプーン。微笑む奈々は、あたしにスプーンを向ける。
「ほら透。あーん、は?」
「………」
「おめー! 俺じゃ食べなかったくせに! 俺の善意を!」
「やっぱ昴先輩がいい……」
「ほんっとウゼェ!」
隼人が何度も突っ込んでくる中、奈々はあたしの手にスプーンを握らせた。
だけどあたしは丸く盛りつけられたチャーハンを崩すだけ。
「……透さぁ、いちいち落ち込んでたらキリねーぞ。取り巻きなんて、うじゃうじゃいんだからよ」
うじゃうじゃ……。
ですよね、それはそれは大層な数なんでしょうな。
「別に取り巻きがいるのはいんだよ。昴先輩だもん。ただ、あたしも昴先輩に触りたいとか、ご飯食べさせてほしいと思っただけで……」
「何だよ。結局ヤキモチ妬いてんじゃねーか」
「はひ?」
「取り巻きには食べさせてる、あたしにはしてくれないの?ってことだろ?」
「……まあ、うん」
「ヤキモチじゃん」
「そうなの?」
携帯を開いていた奈々を見ると、奈々はあたしに視線を移す。



