プラチナ王子



遠い……。同じ空間にいるのにものすごく遠くに感じるのは、なぜなんでしょうか……。


あたしのテンションは下がる一方。急下降。滝並みに急下降ですよ。


ああ、滝修行とかしに行こうかな……。


――ゴツッ!


「ったぁ! 何っ」


鈍い痛みが頭に走り、見上げると隼人がチャーハンを持って立っていた。


「暗くてうぜーな。ちゃっちゃと食って元気出せよ」

「……ありがと」


チャーハンを受け取り、隼人はあたしの前に座って蕎麦を食べ始める。


「食べないの?」


奈々が赤い弁当箱を開けながら聞いてくるけど、スプーンを持つ気力すら湧かなかった。


「食べるけども……あたしも、昴先輩に食べさせられたい……」


さっきから同じことばかり繰り返してぐずるあたしに、隼人は「うぜーな!」と痺れを切らし、スプーンを手に持つ。


「食え、おら!!」

「ひぃいいいい!! 隼人にされたくないんですけどぉおおお!!」


隼人はチャーハンをすくったスプーンをあたしに向けてくるけど、全力で拒否。断固拒否!


「テメェ……仮にもこの俺が食べさせてやろうとしたんだぞっ」

「あのね、ゾッとした!」

「あぁ!?」


だってほんとのことだもん! 見てこの鳥肌!