食堂に入った瞬間、すぐに見つけた昴先輩はチャーハンらしきものをスプーンですくって、目の前に座る女の子に食べさせてあげてた。
あーんって感じで。
「奈々……あたしは今、食堂に来たことに心の底から後悔してるよ……」
泣きそうっていうより、気絶しそうなんだけど。
あたしにもしてほしい。あーんて、食べさせてほしい……。
暗くなるあたしを見て、奈々は黙っている。
まさか昴先輩が、あたしと奈々以外の女子と一緒にお昼を食べるなんて。
何を根拠に、昴先輩はあたしと奈々と、翔太先輩とキョウ先輩とだけ昼ご飯を食べる……なんて思ってたんだろ。
そんなわけないのに。これが自惚れってやつかもしれない。
……やばい。へこむ。
床に付いてる足が、今にも沈んでいきそう。
「――透? 何固まってんだお前、邪魔」
背後から掛けられた声にゆっくり振り向けば、予想通りの金髪男が立っている。
「隼人ぉー……」
奈々はあたしと隼人が名前で呼び合ってることに驚いているようだった。



