――なんだか朝から調子が悪い。
やる気が出なくて、授業にも身が入らなくて、ぼーっとしてたら先生には怒られるし。
いつものことだけど、なんだろうね……このモヤモヤした気分は。
病気かな。そうかも。
きっとウイルスと言う名の怪物が、あたしの体の中をめぐってめぐって……。
「イッタァ!!」
「透、食堂行きましょう」
ななな、奈々さん?
今、あたしの背中を思い切りつねらなかった!? 普通に声を掛けるだけじゃダメだったの!?
ヒリヒリする背中をさすりながら、あたしは壁にかかる時計を見て、もう昼休みになったのかと気付く。
「てか奈々、弁当じゃん」
「食堂で食べればいいわよ」
「んー…」
「昴先輩に会えば、元気出ると思うわよ?」
……奈々。あたしには奈々が天使に見えるっ!
「行く!」
あたしは財布を持って奈々と食堂へ向かう。
だけどわずか数分で、後悔してしまった。



