あ……。
「昴先輩だぁ~」
胸がほっこり温かくなり、幸せな気分になる。
翔太先輩と並んで歩くプラチナの髪が、風に揺れるたびキラキラと光っていた。
「あら」
「……」
変わったその光景に、チクリと胸が痛む。
昴先輩に突然抱きついた2人の女の人。何やら楽しげに話して、1人は昴先輩にべったりくっ付いていた。
「……あれかなー」
「なぁに?」
「昴先輩の取り巻き」
「ああ……そうかもしれないわね。きっと、もっといるわよ?」
「あたしも、昴先輩に触りたい……」
ズルい。あたしは恥ずかしくて、あんなに積極的になれない。
「いいなぁーっ!!」
フェンスを掴んでガシャガシャと揺らすと、奈々があたしを呼ぶ。
「触らないでとか、ヤキモチ妬かないの?」
「えぇ? うーん……」
「不思議ね、透は」
「……………」
触らないでとか、思わなかったよ。ヤキモチも、よく分からない。
ただ少し、悲しくなった。
ほんのちょっとだけ、昴先輩を遠くに感じた。



