「女性っぽくないっていうのは、透の魅力のひとつだと思うわよ」
「はー……さすが三神さんはいいこと言うねー」
「つか、透が奈々と仲良いってのが不思議じゃね?」
あの……あたしと奈々に対する態度が違いすぎるのは、気のせいですかね?
「そうかしら。私、透といると落ち着くわよ?」
「なんつーか、アンバランス?」
「はいはい! どーせあたしはがさつであぐらかくような女ですぅー!」
「ごめんって透ー!」
眉を寄せると、笑って謝る男子たち。
本当はそんなに怒ってるわけじゃないし、あたし自身奈々と並ぶとアンバランスってことくらい分かってる。
校則がさほど厳しくないこの学校で、指定制服をきっちり着こなす奈々はオーラからして他の生徒と違う。
毛先だけワンカールされた黒い艶髪はふわふわとしていて、しっかりメイクをしてるはずなのにナチュラルで、磨いてるだけの爪もそれだけで綺麗。
座り方も仕草も流れるように自然で、奈々の背骨は絶対少しも歪んでないと思う。
あたしみたいにあぐらをかいたり、両手を叩いてゲラゲラ笑う奈々なんて想像したくもないけど……。
授業中に鼻をかんでそのままゴミ箱めがけてストラーイク!なんてティッシュを投げるあたしとは違って、奈々はきっとおしとやかって言葉が似合う。



