予感通り、話してる内にあたしと隼人はこの前の乱闘が嘘みたいに、普通に喋れるようになった。
「つーか透ってさ」
1on1に付き合ってくれた隼人は疲れも見せず、床に座りながらバスケットボールを指先でクルクル回して聞いてくる。
「……何?」
さすがバスケ部のエース。ぐったり座りこむあたしとは体力のあり方が違う。
「好きなんだろ。昴のこと」
「は!?」
あたしの意志とは関係なしに顔が熱くなり、それを見た隼人は声を出して笑った。
「やっぱなー! 相当好きなんだろうとは思ってたけど」
「な……なな何!? 急にっ」
「好きじゃなきゃ、あんなことしねぇだろ」
「~~っ」
何も言えずに口を尖らせると、隼人は笑う。
そのまま立ち上がり、両手を上げて構えるとボールを投げた。
ボールは綺麗に弧を描いて、スパッと切るような音を立ててネットを揺らす。
「まぁお前可愛いし、色々あるかもしんねーけど頑張れよ」
テンッテン……と転がっていくボールから隼人に視線を移す。あまりにも、ビックリしたから。



