「英語は好きか?」

「嫌いじゃないよ」


ぶっきらぼうに答えると、先生は声を出して笑った。


だって英語頑張ってたのは、日本語が苦手な昴先輩といつか喋れるようにって願ってたから。



「――あ。透じゃん」


先生と自販機の前で話しているところに、ジャージ姿の大聖が現れた。


「何してんの? 補習?」

「違うっ! 先生に奢ってもらってたんですーっ」


自慢するように苺オレを横に振ると、大聖は「ズリーッ!」と言って自分にも買ってくれと自販機を指差す。


「じゃあ、英語の資料400枚コピーして、ホチキスで止めてくれるか? 200人分」

「自分で買おーっと」


自販機に向き直りお金を入れる大聖に、あたしと先生は爆笑。


次々とボタンを押していく大聖を眺めながら、ふと今日が何曜日なのか思い出した。


「……あれ? 大聖バスケ部なのに、今日休みじゃないの?」


運動部は毎週水曜日、休みだったような……。


「休みだけど、暇な奴ら集まってて。まぁ遊びみたいなもん」

「ふーん、楽しそうだね。てか持とうか?」


大聖はスポーツ飲料を6本も買って、持つのが大変そう。