プラチナ王子


――――――…


「せんせぇ~。終わったよ!」

「おーっ。ありがとな向井」

「お礼はジュースで!」


ニカっと笑うあたしは、放課後に英語資料室で先生の手伝いをしていた。


「分かった分かった」


先生は呆れながらも笑って、財布を持って立ち上がる。それを見て、あたしもカバンを持って自販機まで一緒に歩いた。


「何飲むんだ? 炭酸?」


自販機にへばりついてると、先生はチャリンチャリンと硬貨口にお金を入れていく。


「うーん……甘い気分! 苺!」

「苺牛乳な。ほらどけ」


先生は苺オレとコーヒーのボタンを押して、すぐに出てきた苺オレを取って差し出してくれた。


「うわーい、ありがとー!」

「こちらこそ、助かったよ」

「どーいたしましてっ」


あたしはカバンの紐を両肩にかけて、背中に背負う。そうすると両手が手ぶらで楽。


紙パックの苺オレにストローを差していると、隣でコーヒーを一口飲んだ先生が思い出したように口を開いた。


「向井、体育と英語だけは成績いいんだって?」


その言葉を聞いて、思いっきり苦笑いをするあたし。


まぁ、バカだけどさ……。この前の試験、赤点いっぱいあったけどさ……。