「あの……っ今日はすいませんでした!」
5人で学食を出て、別れ道の階段に着くなりあたしは軽く頭を下げた。
だけど頭を上げると「何で謝るーん!」と笑った翔太先輩に続き、キョウ先輩まで微笑んでくれる。
「透いい子じゃん。ねぇ昴」
「デショーッ」
まるで自慢するように顔全体に笑みをひろげた昴先輩の言葉に、顔が熱くなった。
「ほな、またなぁ! 2人とも!」
「はいっ」
奈々も今日は先に歩かず頭を下げる。
階段を登る姿をまた見送っていると、昴先輩が振り返った。
「トール!」
「え? はい!?」
「カワイー、それ」
言いながら、自分のおでこを指差している昴先輩。
え……。
「またネッ」
おでこを押さえたあたしに昴先輩は満面の笑みを見せ、階段を上っていった。



