「昴先輩の髪の色、好きです。目の色も……片言の日本語も、好きですもん……」
「……」
プラチナの髪を目印にしてた。視界に入ると落ち着かない気持ちになったけど、嬉しかった。
深いブルーの瞳は噂以上に綺麗な青だと思った時、片言の日本語を理解しようと考えた時。
今あたしは昴先輩と関わってるんだ、って。
夢じゃないんだって思う。
「昴先輩は、綺麗だもん」
「……ウン」
新入生歓迎会の日。体育館から教室に戻る渡り廊下の途中で、見つけた。
上履きのまま、大きな桜の木の下で佇む昴先輩に、一瞬で心を奪われた。
「アメリカ……帰っちゃイヤです」
「トール」
昴先輩の手が、頬に流れる涙を拭う。その手に導かれるように、顔を上げた。
「オレのために、おこってくれたんだね」
「だっ、て……」
見れなくなるなんて、喋れなくなるなんて、いなくなるなんて、想像したくもない。
あたしだけじゃない。
昴先輩のことが好きな人はみんな、そうだよ。
「ウレシー。アリガト、トール」
ハラハラ流れる涙を見て、昴先輩は笑った。



