「透お前っ、堂々と着替えるなよ!」
クラスメイトの男子が笑いながら言ってきたけど、気にすることなくめくれたスカートを直した。
「何さ。生着替え、セクシーだったでしょ」
「いや、これっぽちも」
失礼だな!! 仮にも女子なんですけど! 奈々の生着替えだったら鼻血出して喜ぶくせに!
そう思いながら、奈々は絶対そんなことしないかと自分で突っ込み、椅子に座って鏡を覗く奈々を見る。
「奈々、ほんとにバスケしないの? 運動神経いいじゃん」
羽織っていたオレンジのパーカーを脱いで机に放り投げたあたしを、奈々は妖艶に微笑みながら見上げてきた。
「やぁねぇ透。何が悲しくて昼休みにバスケなんて。そんな下品なことしたくないわ」
……男子生徒の皆さん、これがほんとの正体ですよ。
どのあたりが下品なの、奈々!
「じゃー……見るだけ見てたら?」
「最初からそのつもりよ。透が勝つところ、見たいもの」
……可愛いとこもあるんだけどね?
あたしはへへっと笑って、席を立った奈々の背中を押しながら校庭へ向かった。



