プラチナ王子



「透、携帯鳴ってるわよ」

「え? あ、ほんと……」


昴先輩!!


着信ランプがピンク色で、すぐさま気付いたあたしは携帯を持つ手が震える。ていうか、体中が震えてる。


「誰から?」

「すばっ、昴先輩……!」


学校でメール! 夢が叶った!


「何て?」

「まっ、待って待って」


覚束ない手つきでメールを開くと、『きょうはたべないの?』という本文が目に入り奈々に見せる。


「だってさ!」

「あまりのひどさに寒気がしたわ」

「黙らっしゃい!!」


日本語苦手ってとこが可愛いじゃん! もう、可愛くて鼻血出そうになるでしょ!?


「今から行っても時間ないじゃない。予鈴まで15分しかないわよ」

「行く! あたしは行く!」


昴先輩に誘われたら、行くしかないでしょ!


コンビニで買ったおにぎりを机に置いたまま、奈々の鏡を借りて髪を整える。


別に何も変わらないけど、一応ね! 女子の身だしなみ! 元から身についてないけどね!


「私も行こうかしら」

「行くよ! 早く早くっ」


奈々の手を引いて、学食に急ぐ。


昴先輩に会える。今日も会えるっ!



瞬時にあたしの頭は、昴先輩でいっぱいになっていた。