「透は初恋だものねぇ」
「ちょっと奈々!?」
何言ってくれちゃってんの!?
「初恋ぃい!?」
「新入生歓迎会の日に一目惚れしたのよね?」
「ぎゃーっ! 奈々のバカ!! やめて!」
あたしが困ってるのを見て、楽しんでる! からかってる! 鬼! 大魔王!
「一目惚れって……」
「聞かなかったことにして!」
あぁもう恥ずかしいっ。穴があったら入りたい。むしろ自分で穴掘る!
「あんなに綺麗な男の人、見たことがないんでしょ?」
「ほ、ほんとにやめて下さひ……」
奈々は満足したのか「はいはい」と言って、お弁当に視線を移した。
大聖に何てこと教えるんだ……。あまりにも恥ずかしくて、大聖の顔見れないんですけど。
「まあ、頑張れ」
「へっ」
見上げると、大聖はすでに友達のとこへ歩いていた。
「……頑張ります」
いちおう返事を、ね。
「面白かったわね?」
「何が!? 何も面白くないでしょっ! どんだけからかうのさ!」
「透をからかったんじゃないんだけどねぇ……ふふっ」
ふふっって! あたしをからかったとしか思えないし、何がそんなに面白かったのか分からない……。



