「王子が昨日、女と飯食ってたとか。女の先輩も血相変えて集まってるみたい」
「……そ、そ~なんだぁ~……」
奈々は一瞬で機嫌が直ったのか楽しそうに微笑みを浮かべたけど、笑えない……笑えないよ奈々……。
「奈々さん、何で笑ってんの?」
聞くなバカー! 大聖のアホ!
「王子様とお昼一緒にしたの、透なのよ」
「奈々もじゃん!」
「私は付き添いみたいなものでしょう?」
「は!? 何!? 透、王子と飯食う仲にまでなったのかよ!」
あたしは手に持つ苺オレを飲みながら、大聖を見る。
「……そうだけども」
「まじか……!」
「しばらく学食は行かない方がいいかしら。ねぇ透」
「やだー!」
「やめとけって。このままじゃ女の先輩に睨まれること間違いなしじゃん」
片眉を上げて呆れたようにあたしを見下ろす大聖に「うっ…」と情けない声が出る。
「でも、好きなんだからしょうがないじゃんっ」
睨まれるくらいで昴先輩を好きなの、やめたりしない。
そう目で訴えると、大聖はしばらくあたしを見つめてからフイッと顔を逸らした。
「あーやだやだ。透は好きだのなんだのって騒がない奴だと思ってたのに」
それはあたしも思うけども……。



