「ていうか、体育倉庫って中から鍵開けれること知らないのかな。絶対アホだよね?」
うん、絶対アホ!
「でもよく考えて透」
「何を?」
「あの時、イケメン集団が昴先輩を閉じ込めなかったら、透は昴先輩と友達になってなかったわよ?」
「……」
ごめんなさい、昴先輩。
今だけは、ありがとうイケメン集団。
あの日あの時だけは、昴先輩を閉じ込めてくれてありがとう。
おかげで昴先輩と友達になれて、メールも電話もして、番犬になって、またお昼食べる約束までする仲になれました。
「透」
「何っ?」
「大好きな人を閉じ込めた人たちに感謝するなんて、最低ね」
「……」
今日も、辛口奈々ちゃんですね……。
「で、でも! 次、昴先輩に何かしたら許さないっ」
「あら。感謝すべき相手に牙を向くの?」
「奈々ぁ~……」
うふふと妖艶に笑う奈々は、楽しそうに教室に入っていた。
ほんと、奈々は人を困らせるのが好きだな……。



