「何?」
「バスケ! 人数足りないから混ざってくんない?」
「おー、いいね! 混ざる混ざるっ」
「三神さんもやろーよ!」
大聖はあたしの隣にいる奈々に声をかけるけれど、返ってくるのは申し訳なさそうな笑顔。
「ごめんなさい。私、スポーツはあまり得意じゃなくて……」
奈々の表情と声色が一体どっから出てくるのか、全く分からない。
「やっぱダメかーっ。まあ、怪我したら危ないもんな」
「でも、お誘いありがとう」
キラキラと輝いて見える、奈々の別人すぎる笑顔を横から凝視していると、大聖にポンと背中を叩かれた。
「じゃあ透、校庭でな!」
「分かったー」
短髪の黒髪がよく似合う大聖は白い歯を見せながら爽やかに去っていく。
大聖の姿を見送ったあと、あたしは教室の後ろにある自分のロッカーから紺色の半パンを取り出した。
それをスカートの下に履くと聞こえてくる、笑い声。



