プラチナ王子



―――――…


「あら。おはよう透」

「はよー奈々!」


上履きに履き替えていると、奈々が下駄箱に着いたところだった。


「可愛いわね、ぽんぽん」


奈々が指差すのは、あたしの前髪を結んでるオレンジ色のぽんぽんが付いたヘアゴム。


「暑いから邪魔でさっ」

「もう夏だものね」

「奈々の髪見てても暑いー」


奈々は胸下まである、黒のロングヘア。


毛先だけワンカールさせて、もうなんか本当、お嬢様の雰囲気が出すぎてると思うんだ。


「奈々もたまには髪結べばいいのに」

「私がぽんぽんなんて付けたら、完璧に血迷った人じゃない」

「そこまで言い切る……?」


奈々はクリップとか大人っぽい感じのほうが似合うとは思うけどさ。


……ん? それってあたしは、子供っぽいってことになる? よね?


「そういえば透、昨日メールしたの?」

「へ!? ……ああ、したした!」


ヘアゴムを取ろうとした手を止めて、奈々に笑顔を向ける。