「そうだよ! あのタイミングで移動だって言うなんて、早すぎると思った!」

「今日のお礼よ」

「比率が合わないっ」


だってあたしは助けただけでっ!

食堂嫌いなのに昴先輩に会えるようにしてくれて、メアドまでゲットできる機会を作ってもらえて、贅沢すぎる!


「透が助けてくれて、あたし嬉しかったわよ」


微笑む奈々の美しさと言ったら、ダイヤモンド以上の価値があると思います。


「奈々ぁ~! いっつも黒いとか言ってごめんね!」

「やぁねぇ透。黒いんじゃないの、ドス黒いの」

「……」


さすがです奈々様。

あたし絶対、奈々にはかないません。勝負前に棄権するけど。


「メアドも手に入ったわけだし、ちゃんとメールしなさいよ?」

「うっ、うん! 今日! 今日中に昴先輩にメールする!」


奈々が頑張ってくれたんだから、あたし自身も頑張らないと!


「そう。いい子ね、透」

「奈々っ! 好き!」

「死にたくないから近付かないでちょうだい」


吐き捨てるように言った奈々は抱き付こうと両手を拡げたあたしを置いて、スタスタと先に教室へ行ってしまった。


「……」


1人で、頑張ります……。