プラチナ王子



「昴先輩。透は、お腹がいっぱいなんですよ」

「……そなの?」


奈々の言葉であたしを見た昴先輩に、やっぱりどうしたって体温が上がってしまう。


「そ、そうです……お腹いっぱいなんです……」


まさか昴先輩が食べてるものを貰えるなんて予想もしてなかったから挙動不審になっただけですなんて言えない!


でもやっぱり食べたいですなんてもっと言えない!


「じゃあ、hungryの時。たべてね?」


あたしの顔を覗くように首を傾げて言った昴先輩にグサァッ!とまた胸を射抜かれた上に、声帯まで機能しなくなってしまったらしい。


言葉の代わりに力強く頷くと、昴先輩は極上の笑顔を見せてくれた。


ああ……今日の夕飯は焼き肉にしてもらおう。


それで昴先輩のこと思い出しながらモリモリ食べたいと思います。


お母さんに早速夕飯のリクエストを送ろうと携帯を取り出すと、奈々があたしを呼んだ。


「次移動だったわよね?」

「えっ? あ、そうだ、ね……?」


次の時間はたしか理科室で実験だった気がする。


でも、まだ時間あるし……昴先輩とあんまり話せてないし……教室戻るには早くない?


「じゃあ早めに戻らなきゃだね」


キョウ先輩がグラスを持ちながら言うと、「その前に!」と焦ったような翔太先輩の一言。