「はーっ! 腹へったわぁ」
「食べよっか」
「イタダキマース」
翔太先輩、キョウ先輩、昴先輩がそれぞれ昼食を食べ始める中、あたしは存分にありがとうの気持ちを込めて奈々に笑顔を向けた。
伝わったのか奈々は微笑み返してくれて、頑張って昴先輩に話しかけようと隣を見る。
だけどすぐに顔を逸らして、ほとんど食べ終わる寸前のハンバーグに手をつけた。
ダメだ……何を話せばいいのかさっぱり! ていうか焼肉定食を食べる昴先輩が隣にいるだけでお腹いっぱいなんですけど!
でもこんなチャンス二度とないかもしれない……話題、話題、話題……!
出てこないね!
諦めてチラリと昴先輩を盗み見ると目が合って、心臓が口から飛び出るかと思った。
「たべる?」
「はひ!? や、め、滅相もないです! ノーサンキュウです!」
ガタガタッと音を立てて椅子の端によりながら、両手を左右に振る。
その時「ぶはっ!」と多分キョウ先輩が吹き出したけれど、パニック中のあたしは顔を赤くする以外何もできなかった。
「……トール、いらないて。オイシーのに、どして?」
「ぶふぅっ!」
「キョウ笑いすぎや! 昴は黙ってひとりで食っとればええねん! この天然スケコマシ!」
「んん……ショータの日本語ムズカシー」
そんな昴先輩たちの会話に、食事を終えた奈々が箸を置きながらクスリと笑う。



