プラチナ王子



「んー。だってあれは、あからさまに変態だと思って」


嫌がる奈々を見て、あたしは西郡に向けてジャンプサーブを打ってみたら見事顔面に直撃。


ボールを拾いに行きながら謝って、下手だからあたしにも教えてと奈々から西郡を引き離した。


体育の成績5のあたしが教えてもらうことなんてなかったから、殺人サーブと言われるものを西郡に5~6発お見舞いしてみたことが、奈々的には大満足だったらしい。



「最高よ、透」


すりすりと頬をあたしの頭にこする奈々から甘い香りがする。


あたしのこと、犬だとか思ってるね?


……別にいいんだけどさ。


「あたしは奈々の番犬だから」


そう言ったあたしを引き離して、奈々は微笑む。女のあたしでも惚れ惚れするくらい綺麗。


「可愛い番犬だこと」


機嫌、直ったみたい。


「今日は学食行きましょう」


あたしの頭を撫でて更衣室から出る奈々はすっかりご機嫌みたいだけど、思わず首を傾げてしまった。


学食?

奈々、人が多い場所は注目されて嫌がるから利用したくないはずなのに……。


どういう風の吹き回しだ?