プラチナ王子



不安になりながらも歩きだすと、奈々が「それより」と話を変えた。


「良かったわね、昴先輩と話せて」

「――! うんっ!」

「友達で満足なの?」

「これで満足しないほうがおかしい!」

「はぁ……これだから……。携帯番号くらい交換しときなさいよ」

「えぇ!?」


あたしと昴先輩が、番号交換……? 何その、夢のまた夢な話!


「無理ムリ!」

「ほんとバカね。昴先輩とメールしたくないの?」


昴先輩とメール!? それって、それって……。


「授業中にメール出来るかな!?」

「どうして授業中なのよ。休みの日にとか学校終わった夜とか、他にいくらでもあるでしょう」


休みの日!? 夜!?


「学校以外で昴先輩と絡んでいいの!?」

「言い回しが不潔だわ」

「何がっ!?」

「まぁ、そういうことよ。連絡先知ってて損はないでしょう?」


そっか、そっかぁ……。

昴先輩とメールなんて、考えたことなかったな。


昴先輩、絵文字使うかな? ていうか、日本語打てるのかな? メール打つの、遅いイメージだなぁ……。


ニヤニヤするあたしを冷ややかな目で見てくる奈々は見えないフリ。



明日も昴先輩に会えるかなぁ……。


会えるといいな!