プラチナ王子



“バイバイ、トール”


あたしだけに言われた、脳内で何度も再生される言葉にきゅんとする。


トールって5回も呼ばれた! 数えてる自分がキモい!けど、トールで良かったー! お母さんお父さん、ありがとう!!


「透、王子と知り合いなのかよ!」

「へぇ?」

「顔緩みっぱなしね」

「ひひゃい」


奈々に頬をつねられていると、大聖が身を乗り出してきた。


「何で!?」


つねられた頬をさすりながら、あたしはまたニヤけてしまう。


「今日、友達になったのー」

「まじか!」

「良かったわね、透」

「うんっ」

「……透、まさか王子のこと好きなわけ?」


思わず顔を赤くすると、大聖は目を見開いて赤くなったあたしを信じられないという感じで見ていた。


「好きになるのは自由じゃん!」


何か言われる前にと思って、先に言っておく。


どうせ、あたしなんかに好きな人がいるなんて思ってなかったんでしょ!


「……いや、そっか。へー……」


あれ? からかわないの?


絶対バカにされると思っていたあたしの隣で、奈々がクスリと笑う。