「昴はまだかぁ~……」
空しか見えない屋上は、あたしの秘密基地。立ち入り禁止の屋上は先生も生徒も来ない。
あたしと奈々の秘密だったけど、昴と友達になってから翔太とキョウも入れて5人の秘密になった。
屋上の鍵はふたつ。昴たちがサボる時に鍵を貸したら、もう1つ合い鍵を作ったみたい。
あたしと昴が持ってる、ふたつの同じ鍵。
「……」
同棲してるみたい!
へらっとひとりでニヤけて、妄想を膨らませてはバシバシと地面を叩いた。
まぁ……合い鍵って言っても屋上の鍵だけど。雨降ったらひとたまりもないけど。
そんなバカなことを考えてると、ドアが開く鈍い音がした。
「トール」
振り向くと、黒いTシャツに学校指定のチェックズボン姿の昴。
今日も眩しいです!
「昴ーっ!」
昴の前まで駆け寄れば頭を撫でられる、いつもの流れ。
「すわろー」
「うんっ」
隣に腰掛けようとすると、急に手首を掴まれた。
「へ?」
「トールは、ここ」
先に座った昴は自分の両脚の間を指差して、ほぼ強制的にそこへあたしを座らせる。
えっ……と……これは?
昴はあたしを自分の前に座らせるなり、後ろから抱き締めて何回もぎゅーっとしてきた。
「ん~っ」
ん~って! 何それ可愛い!



