――――――…
「デレッデレね」
「うへへ~。そうかなぁ?」
あたしは上半身を左右に揺らしながら、休み時間に昨日の放課後デートを奈々へ報告していた。
「鬱陶しいからもう黙ってちょうだい」
「無理! だって好きすぎるからっ!」
──ガッ!
好きすぎるからっ!と言った瞬間、奈々にべんけいさんを蹴られました。
「……イッ……つぅぅう~」
クラスメイトにバレないように机の下で蹴りやがった! なんて恐ろしい子なの!
「蹴ることないじゃん……うっ……奈々だって恋すれば、きっとこの気持ちが分かるのに……」
「ふふっ。やぁねぇ、透。私と透が似た者同士だとでも思ってるの? 不快だわ」
……遠回しに翔太と何か進展してないか聞こうと思ったんだけど、笑顔が怖くてこれ以上踏み込むと命が危ないと思うのでやめておきます。
痛むべんけいをさすって黙ると、「そんなことより」と奈々が口を開く。
「授業始まるわよ」
「うえ!? やばいホントだ! 先生には何とか言ってごまかしといてね!」
痛さなんかすぐに吹っ飛ぶあたしって、すごい。
俊敏に立ちあがったあたしを見上げながら、奈々は髪を耳に掛けながら微笑む。
「腹下してピーピーですって言っておくわ」
「やめてぇぇええ! 奈々からそんな言葉聞きたくないっ!」
「冗談よ。行ってらっしゃい」
「ありがと! 今度奢るからっ!」
言いながら慌ただしく教室を出るあたしを、奈々は笑顔で見送ってくれた。
……やっぱり、誰かに恋した奈々を見てみたいなぁ。
恋してもあの腹黒さは変わらなそうだけど。
そんなことを思いながら屋上へ続く階段を登った。



