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ある日の放課後。
HRが終わって、あたしは自分の席に座ったままソワソワしていた。
「「きゃーーっ!!」」
廊下から響いた黄色い声を合図に席を立てば、教室のドアから顔を覗かせた王子。
「トールッ!」
あたしを見つけるなり悩殺スマイルを浮かべた昴に、グサァッ!と相変わらず心が射抜かれて足元がふらついた。
立ってるだけなのに、輝いて見えます……。
鼻血出してもいいですか?
「透、見とれてないで早く行きなさいよ」
「は! うんっ! じゃあ奈々、また明日! バイバイッ」
奈々は手を振ってあたしを見送る。昴の前にたどり着くと、頭を撫でられた。
「かえろー」
「うん!」
2年生が1年生の廊下にいるだけで目立つのに、学校一の王子昴が歩いてるとなれば目立つ目立つ。
わざわざ廊下に顔を出して目で追ってくる生徒もいれば、廊下にいた生徒は目を輝かせて昴を見ている。
嬉しいような複雑なような……。
下駄箱が違うので一旦離れてまた落ち合うと、昴は「すぐかえる?」と首を傾げた。
「っ昴が行きたいとこあるなら、どこへでも付いて行きますとも!」
「ほんと? やったぁ」
嬉しそうに笑う昴に、あたしも嬉しくなる。
放課後デートーッ!



