プラチナ王子



「調子ノッてんなよ」
「ブス」
「早く別れろ」


あ……あれぇ?


「僻みよ。ひ、が、み」

「ありきたりな展開だよねぇ……」


今日午前中だけで、すれ違いざま何回悪口を言われたことか。


「全部2年生だよね」

「ゆっこ先輩のグループでしょう? ほんとお子様よねぇ」


昼休み。食堂に向かう途中、あたしと奈々はどうしたもんかと話していた。


「まぁ、別にいいんだけどさ」


あたしが悪く言われる分にはどうってことない。それに、ゆっこ先輩が黙ってるわけないと思ってたし。



──ドンッ!


「った! ……ごめんなさ……」


肩に衝撃が走りぶつかった人に謝ろうと顔を上げると、ゆっこ先輩御一行の登場に白目を剥きそうになった。


「いったいなぁ! どこ見てんの!?」


いやー……あなたからぶつかってきたと思うんですけど……。


「ごめんなさい」


とりあえず謝ってみたものの、あたしを見下ろす瞳はまるでナイフみたい。


「昴と付き合えたからって、浮かれてんじゃねーよ!」


わー……速攻昴のことで絡んできたー。


「あんたみたいなブスが昴と付き合うなんて、身の程知れば!?」

「ゆっこの方がずっと好きだったんだから!」

「早く別れろよ!」


小麦色の肌に濃い化粧が目の前に3人もいると、目がチカチカするなぁ……。


「行きましょう透。こんな人たちにかまうことないわよ」

「あ、うん」


奈々に背中を押されて食堂に入ろうとすると、派手なネイルが目立つ手に腕を掴まれた。