「昴……きれー……」
思わず口走ると、昴は妖艶な笑みを見せてからあたしの顎を持ち上げた。
唇に、柔らかい感触と温もりが伝わる。
まるでお互いが引き寄せられるように、あたしと昴は甘い甘いキスをした。
「…………」
「……トール?」
お互いの唇が離れ、数センチだけ離れた昴の顔は不思議そうに傾いている。
「トール? どしたの?」
ぐっと昴の顔が近づいて、我に返る。
「いや!? べっ、別に!」
咄嗟に俯いて平常心を取り戻そうとするものの、さっきまでのキスが頭の中をグルグルと回っている。
「だいじょぶ?」
昴の手があたしの頬を撫でただけなのに、ドキッとして体が跳ねる。
「だだだっ大丈夫!」
なんだこの展開! なんだこの態勢! ていうか昴とキッ、キス……!
かぁーっと顔が赤くなって、出来るだけ昴の顔を見ないようにする。
昴の顔は犯罪! つい見とれちゃったじゃん! 綺麗すぎるから世界遺産に今すぐ登録するべき!
「……ヤダ?」
頭上から声がして、あたしは顔を上げる。
「kiss……イヤ?」
は!?
しゅんと落ち込む昴の服をがっと掴みながら、全力で否定する。
「イヤなわけないじゃん! 幸せすぎて、逆にごめんって感じなの!」
昴は目を見開いて、ふわっと笑う。
花が見えます……昴の周りに満開の花。
「ダイスキ」
ギュッと抱きしめられて、あたしの顔は火照りっぱなし。
「あた、あたしも……ダイス、キ……」
恥ずかしくて、だんだん声が小さくなる。
「ハハッ」
可笑しかったのか笑って、昴はあたしを強く抱きしめた。
ぎゅーって、何回も、何回も。



