「……? 何?」
「Come here」
昴は微笑んで両手を広げて、理解したあたしはポポッと頬を染めてしまう。
戸惑いながらも昴に近づくと、ぎゅっと抱き締められた。
あたしは昴の膝に座らされて、おサルの親子みたいになってる。
180センチの昴に引っ付く152センチのあたし。
特に何か喋るわけでもなく、昴はあたしの頭に顔を乗っけていた。あたしは昴にぴったりとくっ付いたまま動かない。
あったかい……落ち着く。
昴の温もりが伝わってきて、少し甘い香りの香水が気分を落ち着かせる。
「………」
愛しい。
大きな背中に手を回してぎゅっと抱き締めると、もっと愛しさが込み上げた。
「くすぐったいよ、トール」
昴の胸にすり寄ると、頭上でクスクスと声が響く。
好き。
大好き。
目を閉じて、昴に体を預ける。
大好きな人の腕の中。
ぽかぽかユラユラ、幸せな時間。
ずっと、この時間が続けばいい。
ずっと、昴にハグされてたい。
「……ん?」
昴の手のひらが頬に触れ、自然と首を上に伸ばすと綺麗な顔がすぐそこにあった。
ドキン、と胸が鳴る。
優しく微笑む昴の顔に、思わず見惚れてしまう。
深いブルーの、ぱっちりした瞳。
スッとした高い鼻。くすみのない、プラチナの髪。
どんな男の人よりも男らしい顔。どんな女の人よりも美しい顔。
……溶けてしまいそう。
うっとりしていると、昴の長い指があたしの顎のラインをなぞった。
昴の瞳に、あたしが映ってる。



