「いや、昴の方が恥ずかしいこと言うじゃん!」
「トールでしょー?」
「昴だよ!」
「え~……そうかなぁ?」
「そうだよっ!」
何回キュンキュンしたか、昴は知らないんだろうなぁ。
昴はイチゴムースを口に運びながら、腕に光るゴツめの時計を見ている。
何か言うなと思って黙ってると、案の定昴はあたしと視線を合わせた。
「この……さき、どーする?」
……この先じゃなくてこのあとだよ昴。この先の人生どうする?って話みたいだよ?
「昴は、何か……したいことある?」
「……どして、すこしわらってるの?」
「……ぷぷっ…ううん…」
「ニホンゴ、まちがった?」
「こっ、この先って……っ」
ちょっとツボに入ってしまったあたしは口をおさえて、肩を震わせる。
「あははっ! この先じゃなくて、このあとだよ」
「んん! このあと!」
「このあと、このあと」と、覚えるように復唱する昴。
可愛いなぁ~。
「このあと、どうする?」
微笑む昴に癒やされながら、正直に答える。
「あたしはどこでもいいよ」
昴がいるなら、どこへでも行きますとも!
「じゃあ、俺のhomeいこー」
「うんっ」
「きまり! かいけーしてくるねネッ」
レジに向かう昴の背中を見送るあたしはニコニコと笑顔を浮かべて、ふと思い返す。
……ん? 俺の……home?
home?
家!?
いや、ちょっと待って? 家って……昴の家だよね!?
お母様とお父様に、ご挨拶……?
心の準備出来てないっ!!



