平日の午前中は人もそんなに多くはなく、あたしと昴はプラプラと街を散策しながら服を買ったり雑貨を見たりした。
映画も観に行って、ゲーセンに行ってプリクラも撮ったりして、いつの間にか緊張は解けてずっと笑っていた気がする。
現在14時。ちょっと休憩がてら、いつものカフェに来ていた。
あたしは頼んだ飲み物も飲まず、撮ったプリクラをじっと見つめてる。
「たのしー?」
「楽しい!」
日本語が苦手な昴との会話に、あたしは慣れていた。
今のはきっと、プリクラ見てて楽しい?って言ったはず。
「どして?」
「だってあたし、昴の顔まじまじと見れないんだもん」
「……マジマジ?」
「凝視……ジッと見つめられない」
「できないの?」
「できないよ!」
「どして?」
きょとんとする昴を見て、プリクラを鞄に戻しながら話を続けた。
「かっこよすぎるんだもん。ずっと見てると、その分だけ好きになっちゃう」
昴の顔を見ずにストローを回して、溶け出した氷とミルクティーを混ぜる。
「……」
何も言わない昴に、あたしは今更口にしたことが恥ずかしくなって顔を上げた。
「――え?」
顔を上げて見た昴の顔は、ほんのりピンク色。
「トールって……ハズカシイ」
あたしが恥ずかしい!?
え、何が!? 存在が!? ゴメンナサイそれどうしようもない!
「テレる……」
昴は両の手のひらを合わせて口に押し当て、目を伏せる。
なんだ……。恥ずかしいって、恥ずかしいこと言うって意味か。
……ん?



