「すばっる……」
早速裏返ったぁぁぁあ!
「トールッ!」
ふにゃっと笑う昴に、自分の失敗も忘れて失神寸前。
「こっ、こんにちは! 本日はお日柄もようございますね!」
「ハハッ! こんにちは?」
「は…はひ…」
あたしのバカ……緊張してるのモロバレ……。
ズーンと落ち込むあたしの顔を覗き込むように腰を折った昴。瞬間、ぬくもりが手に伝わった。
「いこー」
「!!」
手……手がっ! 恋人繋ぎなんですけど! 指絡まってるんですけど!
初めての事態に、ぐんぐん体温が上がって熱が顔に集まってくる。
昴……めちゃくちゃ手汗かいたらごめんなさい……。
「カワイーね」
「へ!?」
「ふく。カワイー」
「っ! ありがとう!」
うわーん! やったー!
「昴もかっこいいよ!」
「ホントー? ありがとー」
ほんとにカッコいいです。
昴は白のTシャツに黒の半袖ジャケットを羽織って、黒のストレートデニムはブーツインされていた。ブーツも黒のモノトーンコーデ。
所々に光るシルバーアクセが、格好良さを引き立てている。
いつものことだけど、すれ違う女の人が昴を見て頬を染めていた。
「トール、すごくみられてる」
「え? 何に?」
「men's。ふりかえってる」
「いや、昴にでしょ?」
同性でも昴に見とれるに決まってますから!
「ハハッ! オレのわけナイよ~」
「昴だよ!」
「ちがうよ。トールがカワイーから、みんな、みとれてるんだよ」
「えぇ~……」
「でもトールは、オレのだけどネ」
何か柔らかいものに、胸の奥が縛られる感覚。
幸せ……。
あたしほんとに、昴の彼女なんだ。



