プラチナ王子



――大丈夫かな。


駅構内の化粧室で、自分の姿をチェックする。


秋が近い9月だけどまだ少し暑いから、白い鍵編みの夏ワンピを着て、茶色のウェスタンブーツ、こげ茶の斜め掛けバックを肩にかけている。


金茶色の短い髪は少し巻いて、軽くウェーブを掛けてみた。


メイクも、奈々に教えてもらった通りマスカラとチークとグロスに挑戦。


「……よし!」


ちょっと女の子っぽかったかな? いやでも、のんが絶賛してくれたし!



あたしは化粧室を出て、待ち合わせ場所に向かう。


今日は買い物をしながら街を散策する予定。


ドキドキする胸を抑えて、待ち合わせ場所にいるはずの昴の姿を探す。


「……!」


すぐに見つけた昴は、誰よりも目立っていた。


めちゃくちゃカッコいいんですけど……! 学校一の王子は、外に出ても王子オーラが半端ないです!


私服だと雰囲気変わるなぁ……ほとんど制服姿しか見たことないから、余計に別人に見えると言うか。


いつも可愛いって思ってるけど、黙ってそこにいるだけの昴はひたすらカッコイイ。


暫く見惚れていると、腕時計を見た昴にハッとする。


何見とれてんのあたし! 王子を待たせるなんて大罪!



早足で昴のもとへ急ぐものの、両手両足が一緒に出てしまう。


きっ、緊張する……!


よく考えたら、友達として遊んだことはあったけど、彼女として遊ぶのは今日が初めてなわけで! 失敗は出来ないわけで!


今日はおしとやかに、可愛くいかなきゃ!