プラチナ王子


――――――…


「透~。いつまで悩んでるの~?」

「のんーっ! どうしよう!」


部屋のドアにもたれかかるのんに、助けを求める。


あたしの部屋はファッションショーをしたおかげで、服が散乱しまくっていた。


「何着てけばいいと思う!?」

「いつも通りでいいと思うよ?」

「いつも通りって何!?」

「えぇ………」


今日は昴とデートだっていうのに……デートに着てく服って何!?


一時間も悩んで、未だに決められない。


「のんお願い! 見立てて!」

「お気に入り着てけばいいのに」

「全部気に入ってるよ!」

「じゃあ悩む必要ないじゃんか」


分かってない! あたしが気に入ってても、昴に可愛いって言われなきゃ意味がないんだから!


「ていうか、遊園地とか行った時に可愛いって言われたんでしょ? そん時みたいのなら、何でもいいじゃない?」

「何着てたっけ……」


確か、ショーパンにパーカーに、キャップ……って。


「全然女の子っぽくないよ!?」

「透が奈々みたいな系統だったら、俺やだよ~?」

「………」

それは、そうだけど……。


奈々のお嬢様風な格好は、あたしには絶対似合わないし。え、ギャグ?ってなるし。


「いつも通りでいいんだよ。昴は、透を好きなんだから」


のんはあたしの目の前にしゃがみ込んで、にっこりと笑う。


「……のん」


いい子!と、ガバッと抱きつけばヨシヨシと頭を撫でられる。どっちが年上なんだかこの際どうでもいいとして。


うん、いつも通りで行こう!


「ありがとね、のんっ」

「楽しんできてね」

「当たり前じゃん!」


昴と会えるだけで、楽しすぎるってば!